こんな気持ちでいられたら

ロートル病理医。地味な医者ですが、縁の下の力持ちでいられることに誇りを持っています。

米粒には名前も顔も無い

大雨、さらに寒い(最高気温の予想は17度)

米価高騰への対策として、政府は備蓄米の放出を決定した。

農林水産大臣が小泉氏に代わって以降、「古米」や「古古米」といった表現が当たり前のように使われるようになったが、それ以前は一貫して「備蓄米」と呼ばれていた。

この表現の変化の裏には一体何があるのだろう。

「古米」という言葉からネガティブな印象を持つ人が多いため、それを避ける意味で「備蓄米」と呼んでいたのかもしれない。

しかし、新米と古米で価格に差があるのは自然なことで、むしろ消費者にとっては「古米」という呼び名のほうが分かりやすいという考え方もある。

収穫年を示す「◯年度産」という表現も使われているが、これも情報としては十分機能する。

 

報道では「味が落ちる」などといった論調が目立つ。だが、いつから日本人は米の味にここまで贅沢になったのだろうか。

米の流通の歴史には詳しくないが、ブランドによる差異は昔から存在していたはずだ。

だから、「安く」「必要なだけ」手に入る米にまで文句をつけるべきではない。

飲食店などで「古米は使えない」というなら、無理に使わせる必要はない。

それならそれで、そういった米を必要とする場所に回せばいい。

世界には、食糧難に苦しむ人々が今も数多く存在しているのだから。

 

「古米?あんなの食えたもんじゃない」
——こんな言葉を軽々しく口にしてはならない。

そもそも、米粒に名前がついているわけでもないし、見た目で新米と古米を判別することなんてできない。

農業、特に米作りは第一次産業であり、国家の安全保障にも深く関わる。

戦時や災害時、最も重要となるのは食糧の確保だ。

国土の狭い日本において、米の自給体制をいかに維持するかが重要な課題だ。

そのためにも、米離れを防ぎ、農家には安定した収入を保証する必要がある。

農業政策はすなわち、防衛の一環であって、予算の一部を防衛費から回すという考えもあっていいはずだ。

「生産者の米離れ」と「消費者の米離れ」。

この両方を食い止める施策を、国は本気で講じるべきだ。