
ある学会のプログラムを作成したら、「私はこれがやりたかったのに」とある人から恨み節を言われた。
いや、それはあなた自身がやりたかったというより、あなたの弟子にあなたの研究を話させたかったのでしょう、ということだったのだが、世の中、あれやこれやと予想外の事情がいくらでも生じる。
何一つ、こちらの思い通りにぴったり当てはまることなどない。
こちらの予想はことごとく裏切られるわけだが、そもそも予想というのは、しばしば身勝手な願望でもある。
学会の演題のテーマや順番にしても、それぞれの演者に事情がある。こちらの希望が、参加者全員の都合に合致するわけではない。
相手の成長につながるだろうと、良かれと思って頼んだことであっても、頼まれて困る人、面倒くさがる人だっているだろう。
こちらの都合は、先方の不都合。
外に目を向けてみれば、地域のいざこざだって、どちらにも言い分がある。
私は日本人だから、どうしても日本の都合を中心に考えてしまう。しかし、日本を取り巻く国や地域にも、それぞれの事情がある。
食糧事情、人口問題、気候問題、政治体制と数え上げたらキリがない。
だから、一方的に相手を非難し、その挙句に戦争などになってしまっては、まったく意味がない。
そんなことは、誰もがよくわかっているはずなのに、話し合いをする前に思わず手が出てしまい、取り返しのつかないことになる。
人間とはおろかなものだ。
私自身、こうして自分の都合ばかりで動いてきたために、知らぬ間に誰かを困らせ、遠ざけてしまったことも少なくないのだろう。
残念だが、取り返しのつかないこともある。