こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

背に腹は替えられぬとなると

 

午後は雨

 

クレマチスの次はブルーベリー、そしてモッコウバラ。

わが家の春は次々と移り変わる。

今年はこれにプラタナス(スズカケ)の花も加わった。

鎌倉の桜はほとんど終わってしまったものの、こうして季節は巡る。

春は力のみなぎる季節のはずなのだが、今年は世界情勢のせいで、どうも気分が晴れない。

アンにも花は美しく見えるかな?

ウクライナとロシア、イランとイスラエル、そしてアメリカ。

それぞれの争いが、世界に暗い影を落としている。

とくに中東情勢の悪化に伴うエネルギー不安は、日本の生活や経済にじわじわと深刻な影響を及ぼしつつある。

連日、さまざまな産業が打撃を受けていることが報じられているが、医療機関ももちろん例外ではない。

医療の現場では、石油製品やナフサを原料とする各種資材・機器の供給不安が現実味を帯びてきた。

病理の世界でも、固定、包埋、薄切、染色という一連の過程は、さまざまな薬剤や資材に支えられている。

そうしたものの供給がどこかで滞れば、標本作製に支障が生じ、ひいては診断そのものが揺らぐ。

胃がん、乳がん、肺がんその他、手術で摘出された臓器に腫瘍があるのか、それはがんなのかそうでないのか。

そうした判断を支える病理診断が滞るということは、日本の高い医療水準を下支えしてきた基盤の一部が揺らぐということでもある。

むろん、その前に手術用の各種医療機材が不足すれば、手術そのものが成り立たなくなる。

 

事は病理だけの問題ではない。

インドや中国がロシア産石油製品の輸入に傾いているという報道もある。

自国の経済と生活を守るためには、建前だけでは動けない国が増えていくのだろう。

ウクライナ支援を掲げてきた国々も、追い詰められれば、どこまで原則を貫けるのかはわからない。

では、日本はどうか。

高市首相の旗色はなおはっきりせず、どのようにこの難局をさばいていくのか、まだ見通せない。

大変な時期の舵取りとなって気の毒ではあるが、あれだけの得票で勝ち得た政権である。

せいぜい踏ん張って、国益に資する外交成果を挙げてほしいものだ。