
最近、テレビドラマでタバコを吸うシーンがほとんどでてこない。
『太陽にほえろ』という刑事ドラマがあったが、ボスも部下もみんな吸いまくっていた。
あんなものを見ていたら子供だってみんなタバコが当たり前に、感じるようになるに違いない。
最近のテレビドラマでは、登場人物がタバコを吸う場面をほとんど見かけなくなった。
たとえば今放送中の『あんぱん』。舞台は戦時中だが、登場人物は誰も吸っていない。
新聞社の中の描写にしても、あまりにも清潔すぎて、リアリティに欠ける印象を受ける。
かろうじて煙っぽい雰囲気を出しているものの、「そういう表現」がされているにすぎない。
宮崎駿監督は、そうした風潮に一石を投じたかったのか、
映画『風立ちぬ』の中では“当時の普通”くらいにタバコを吸わせていた。
ただ、観る側としては、その描写が「やけに意地っ張り」にも映ってしまい、
ヘビースモーカーの意地のようなものに、かえって痛さを覚えた。
タバコによるニコチン中毒で、多くの人が肺癌に冒され、命を落とした人は少なくない。
肺気腫症の人も少なくなく、若い頃普通の喫煙者だった私も人より早く呼吸器機能が下がるだろうと思っている。
人間にとって「当たり前」だったものが、今では害悪とされている例は多い。
タバコに限らず、自動車のレース、賭博、アルコールなど、必須ではないけれど“人間的”とされてきたことの中に、実は最も不要で、最も有害なものが潜んでいるのかもしれない。
その最たるものが「戦争」だと、私は思う。