こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

左目、今度はボディーソープに直撃される


 写真にもやがかかっているように見えるのは、朝霧のせいで、私の眼の調子が悪いせいではない。と言いたくもなるのはこのところ私の眼が災難続きだから。先週は結膜出血で真っ赤になった左目、出血はほとんど引いて、ヘモジデリンの茶色も残らずよかったと思っていたら、今度はボディーソープに直撃された。

 昨晩、目の高さにちょうどあるボディーソープを入れたボトルを押したら、ノズルの先にこびりついていた塊が本来の向きと違って、物凄い勢いで左目に飛び込んできた。目を閉じるまもなく大量のボディーソープが入ったようで、その直後から気絶しそうな痛みに襲われた。

 ここしばらく感じたことのなかった痛みで、屋根裏で荷物整理をしていてついうっかり立ち上がった時にぶつけた頭の痛みや小指を家具の足にぶつけたときの痛みなどとは比べ物にならない。なにせずっと痛いのだ。痛みだけでなく、"このまま失明するのではないか"という恐怖にも襲われてほとんどパニック。

 とにかく目を洗ったが目玉の裏側まで入っているかのようなしつこさ。シャンプーを逆さまにして洗ったり、風呂に入って風呂のお湯で何度も洗ったり、蛇口から出した水で洗ったりとかあれこれやるうちに少し落ち着き、裸のままで七転八倒というのもなんなので、タオルを巻いて脱衣所の洗面台に移動し、シャワーヘッドを逆さまにしてしばらく洗ったが、なかなか流しきれない。ボディーソープが涙管を伝って鼻腔に流れてきたような香りまでし、この辺りの解剖を思い浮かべて気を紛らわす。そういえば、涙管はただの重層扁平上皮の穴だから、単に、そこを通って流れてきたのだろうか。

 痛みがだいぶ落ち着いたところで、妻と娘と夕食。視力は落ちていないので、結膜だけがやられているのだろうと考えた。ワインを飲んだら疲れが出たのか、わりと早く眠ることができた。

 ところが、夜中に痛みで目が覚め、そのあとは目のことが心配になって目が冴えてしまう。仕事の前に職場の近くの眼科で診てもらおうと考え、開いている右目を使ってスマホで、職場の近所の眼科医院を探してみたら口コミというらしいが、どこも評判はイマイチ。それでも一番近くの眼科の評価が高かったのでそこに行くことにした。

 朝起きたところで、曇った空の写真を撮り、そのあと妻にそのことを伝え、いつもより30分ほど早く弁当を作ってもらって家を出た。とにかくその時点ではまだ失明の恐怖があったので、ブログを書く気にもなれず、今度の発表用スライドの整理をしているうちに着いた。

 眼科ではすぐに診てもらうことができ、問題はとくになくホッとした。顕微鏡仕事も差し支えないとのこと。病理医が目を使えなくなるなんて洒落にもならない。目薬を出してもらってから、職場に向かった。

 無事を妻に伝えたら、

 (シャンプーが目に入ったときなんて)そんなものよ、一週間は痛いわよ

と返されたが、あの凄まじい勢いを知らないからそう言えるのだ。目薬を何度かさしたが、痛みは引かない。それでも不安なままで過ごすよりはよほど良かったと思う。
気をつけて過ごそう

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