こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

「献立ライン 」 第1話・・・生姜と油揚げ


『生姜と油揚げを買ってきて、あと、飲みたかったらビールもね(笑)』
と、よくある連絡が私のスマホに入ってきた。
 
妻は料理が上手で、私は妻の作る手料理で(”塩加減を間違えた”というような失敗以外)、メニューなどで、まずいと思ったことはない。そして、なんてことのない(でも、なくてはならない)食材が足りない時はラインで連絡してくる。

生姜と油揚げとビール、忘れないようにしないといけない。そして、今夜の献立はさて、なんだろうと思いを巡らせながら駅のコンコースを歩いて乗り換え電車のホームに向かった。最近では、お菓子だの、アクセサリーだのを売るワゴンがところ狭しと並んでいて、このスペースを利用者が歩くことに使わせてくれたらいいのにと思うほどだ。
その居並ぶワゴンの一つで、生姜と油揚げとビールを売っていた。
・・・生姜と油揚げとビール。
生姜は新生姜のほかにパックの生姜、すでに刻んである生姜、酢漬けの生姜。油揚げも大判のものからすぐに使えるように細く切ってあるもの、乾燥ものとある。さすがに、ビールが売り場の大部分を占めていて、十数種類そろえてあり買っている人もいる。刻み生姜と焼き油揚げを酒の肴にしても悪くはないが、一般的な”おつまみ”は置いていない。
八百屋と豆腐屋と酒屋が一品づつ持ち寄ってきている状態だが、妻からのスマホの指令を知っているかのような品揃えとしか言いようがない。なんだか不思議なワゴンだと訝しく思いながらも、駅前のスーパーに寄る手間がはぶけたと思い、新生姜1本と中ぐらいの値段の2枚入りの油揚げとビール6本のパックを買った。

つづきは来週

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第2話に続く