こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

ナイトの手術のこと

土日の出張の帰り、フラットコーテッドレトリバーのナイトの見舞いに行った。

信州へ出張した土曜日の朝、調子がよくないようにみえたので、妻に病院で診てもらうように頼んでおいたら、脾臓に出血を伴う腫瘍が見つかり、緊急手術となったのだ。

手術は成功した。

日曜の遅くの時間、誰もいない待合室に先生がナイトを連れて来てくれた。

扉の向こうで、犬が傷口を舐めてしまわないようにするために巻いているエリザベスカラーが壁に当たる音が聞こえてくる。

ナイトだ!

元気そうな音。

扉が開いて、ナイトが生きていることをこの目で確認してホッとする。

輸液のラインをとった後の包帯が痛々しい。

脾臓にできた腫瘍が一部破裂し、出血による貧血を起こしていたということだった。

レトリバーは脾臓に腫瘍ができることが多く、そこの病院の顔見知りのトリマーさんのところのゴールデンもやはり脾臓にできた腫瘍を摘出したと言っていた。

ナイトに腫瘍ができるのは子犬の頃以来2度目だ(ナイトの腫瘍の手術と病理診断 2011年12月27日

妻が持って来たおやつをやると、パクパク食べる。

食欲は戻っているようだ。

なんといっても、土曜の朝は好物のきゅうりを食べなかったほどだったのだからよほど苦しかったに、違いない。

考えてみると金曜日の夜も、私たちの食事中にやたらと顔を突っ込んで来て、たしなめたほどだった。

それほど暑くないのに、舌からよだれを垂らし、坂の下で全く動かなくなり、やっと異変に気付いて病院に連れて行ってやることができた私たちはギリギリ飼い主合格だろうか。

一人でナイトを病院まで連れて行き、説明を受け、手術の同意から、家族への連絡などやってくれた妻はよく頑張ったが、私は何もできなかった。

お腹の傷は大きくて、痛々しい。容体が安定するまでは入院、私の出張前には帰って来てくれるだろうか。耳を持ち上げた妻が、真っ白なことに驚いていた。

まだまだ相当な貧血のようだ。

待合室には昔ナイトが献血をしたということで、顔写真が貼ってある。

今回の手術で輸血は必要とならなかったが、血液を必要としている犬はたくさんいるのだろう。

「早く帰ろうよ!」と言わんばかりに、出口の方にリードを引っ張るけれどそうはいかない。

先生を呼び、リードを渡すと、”キュンキュン”と小声で泣く。

悲しい時の声だ。

しばしそこに止まろうとしたが、諦めたのか先生に連れられて、出て来た扉の向こうに消えて行った。

カラーは以前使ったことのあるゴム製のものに替えておいた。

病理診断が出るまでには10日ほどかかる。

今回はこれで大丈夫でしょう

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