私が妻と結婚しようと思ったのは、この人であれば、こんな私の魂を地獄の底から救い出してくれるだろうと考えたからだ。自分の力だけでは抜け出せないほど弱く、自堕落な人間であったこと、それは自覚していたがどうしていいかわからないでいた。少々、恵まれた生い立ちで、容姿で苦労することもなかった。それでも、少しずつ私の心はずれていって、20代半ばには欺瞞と自己矛盾に満ち満ちた人間となっていた。
未だに、その頃垣間見た心の闇を彷彿とさせることあるが、そのような時には妻が察知してくれ、一言、二言アドバイスを与えてくれる。これまでの”名言”はちょうど、50。私との間の言葉のやり取りではなく、普遍性があると感じたものを”名言”としている。
たまたまだが、今日は私たちの結婚記念日でもあり、タイミングもちょうどいい。

最初の”名言”は、私が妊婦さん二人に二日続けて席を譲ることになったのをぼやいた時、「妊婦さんが一番喜んでいるわよ。朝のラッシュは怖いのだから。あなたが一人に代わってあげたなら、二人と代わったことになり、二日で四人に席を譲ったことになるわね。お腹の中の赤ちゃんも喜んでいるわ、良かったわね。」(四人からの感謝(2010年03月18日)』
新婚旅行のお土産をいただいて、「よかったわね!美味しいものを頂いて、幸せも分けていただけたのね。」『幸せの量(2010年05月20日)』
通勤途中にあった某国大使館が閉鎖したようで、そのことを言った時、「あら、そんなこと無いんじゃない?(みなさん)お国に帰っているだけかもしれないわよ」『お里帰り(2010年06月22日)』
髪の毛を慈善団体に寄付した時、「わたしの髪の毛って、伸びるのがずいぶん早いらしいの」『夫婦円満のコツ(2010年07月21日)』
一言言われたことで、気付かされたこともあった、「昔みたいに、(家具など)いろんなものを動かせなくなっちゃった」『夫婦の会話(2010年10月11日)』
後輩について相談した時、「なにいっているのよ、あなただって、若いうちはさんざんそうしていたでしょ?」「あの人も、そうやって、少しずつ成長していくのだから、それを見ていてあげなさい」『自分もそうだったでしょ(2010年10月22日 )』
「夢をかなえるゾウ」、という本を読んだらまるきり妻のような生き方が書いてあると言った時、「人を喜ばせることが大好きです」『人を喜ばせる事が大好きです!(2010年11月04日)』
お相撲で色々と問題があり、それでも頑張っていた白鵬の連勝が止まった時、「こういう、歴史的な場面を観ることができると言うのはすばらしいことじゃない。だから、今日の負けは、とても残念。」『スポーツを愛する(2010年11月16日)』
以前住んでいたマンションの高齢化についてブツブツ言っていたら、「(お年寄りを含め)みんなが、仲良く暮らせたら、それが私たちの幸せになるわ。」『お年寄りと一緒に暮らすこと(2010年11月20日)』
散歩の途中でした犬のフンを家に持ち帰り、流そうとしたら便器を詰まらせてしまったこともあった、「よかったじゃない、ウンを引き出し、ウンをつかんで、ウンもついたんだから」。『運を掴んだ話(2010年11月30日)』なお、その後宝くじを買ったかもしれないが、当たりはしなかったようだ。
人様のところに伺う時には手土産を持っていくということを知らなかった私に、「お医者さんなんて、人からもらうばかりで、(あなたを含めて)自分からどうこうしよう、なんてことないでしょう?普通の社会では、こうやってどこかへおうかがいするときには必ず、何か持っていくのが礼儀なの」『手みやげ(2011年01月20日)』
節分の時、鬼のお面をかぶるよう、私にせがむ子供に「パパに鬼なんて、かわいそうでしょう。みんなのために一生懸命働いてくれているのに」『節分(2011年02月03日)』
毎朝家を出かける時に見送ってくれるのが少々面映ゆいと言ったら、「何を言っているの、今別れてこのまま次会えるかどうかなんてわからないじゃない。いつも、これが最後のお別れかもしれないと思って、あなたのことを送り出しているのよ」「人間、なにが起きるかなんて、わからないでしょう。だから、一緒にいるときは、仲良くしていなくてはいけないし、誰かがでかけるときは、必ず見送らないといけないの」『これが最後のお別れかもしれないから(2011年02月25日)』
さらに、帰ってきたら、「お疲れ様、よく無事で、と迎える」『「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」(2013年05月23日)』
3.11の後、鎌倉市の対応について話していたら、「(被災地でないからと言って)鎌倉市役所の人も、頑張っているのよ。計画停電が始まってから、夜中に問い合わせが来ることも度々なんですって。」『市役所の人もがんばっている(2011年04月04日)』役人だって、頑張っている人はいることを忘れてはいけない。
買い物途中で出会った子育てで悩んでいた若いお母さんとの立ち話で、「あたなには、この子をあなた好みの男に育てる特権があるのよ。あなたのご主人(もちろん妻は知らない人)みたいにいい男に育てることができるなんて、楽しみじゃない。男親にはできないことなのよ!」『あなた好みのいい男に育てるのはあなたなのよ(2011年07月03日)』
ノルウェーに二人で行った時、フィヨルドの崖を登ってヒイヒイ言っていたら、「よかったじゃない、こうやって自然の中で、自分が年を取っていくことを自覚できるなんて」。『ああ、年をとったんだ・・・(2011年09月11日)』
私が、あんまりネガティブなことばかり言っていたら、業を煮やして、「そんなに、ネガティブなことばかり考えているのなら、そういうことをたくさん書き込めるブログを立ち上げれば良いじゃない。ネガティブ ドットコム、なんていいんじゃない?」と皮肉られた。『ポジティブ ドットコム(2011年11月15日)』それでも、ネガティブなことばかり言っていたら、「また、朝からネガティブね!朝くらい、楽しいこと、前向きなこと、考えて、口にしなくちゃ!」さらに、「私のことを褒めるとか」。『ポジティブ ドットコム その2(2011年11月30日)』難しいけれど、こういうことは意識して行わないといけないのだろう。秋になると心が少し沈みがちになる「これから冬に向かっているからそんな風に考えちゃうだけよ。考えて良くなるのならいくらでも考えたらいいけど、そうでないなら考えてはダメ。」『それは冬に向かっているからよ(2016年11月18日)』
仕事が嫌だなどとこぼしたら、「仕事があるなんて幸せじゃない。あなた、今度ハローワークに行ってご覧なさい、仕事が見つからなくて困っている人がどれほどいるか。新宿や上野あたりの公園に行ってご覧なさい、日雇いの仕事をもらいに集まっている人がどれほどいるか。やるべき仕事があるあなたが、そんなことを言っていたらバチが当たるわよ」『勤労感謝の日に感謝すること(2011年11月23日)』仕事に対する姿勢については、再度注意を受けている「仕事なんて、みんな大変よ。楽な仕事なんてあるわけないでしょう。それに、どこでどんな仕事をしたって、それぞれのところでそれなりに大変なのだから、どれも一緒。」『今日は両手で香り付け(2014年05月09日)』「みんなあなたが勝手にストレスにしているだけじゃないの。すべて楽しく考えるようにしなさい。あれもだめ、これもだめって、楽しいことを考えられないの?」『ストレスを産んでいるのは自分(2017年03月10日)』とも。少しぐらい忙しくても、「いいじゃない、いろんなところに行ったら、いろんな人との出会いがあるのよ。それを楽しみにしないでどうするの?」『多くの出会いを楽しみに(2017年07月24日)』
仕事では、競争もあり、足の引っ張り合いもある「そんなこと、どこにでもあることじゃない、会社勤めだったりしたら、もっとたいへんよ。横取りしたあと、追い討ちをかける人だっているのだから。」『そんなのどこでもよくあることよ(2015年05月25日)』本人も、仕事をしていた頃は辛いこともあったようだ(もちろんそんなことは決して言わない)。
将来を心配していたら、「来年のことだって、再来年のことだって、もう決まっていることなんだから、あれこれ心配してもしょうがないわよ。なるようにしかならないんだから。」『もう決まっていることだから(2016年02月24日)』と取り合ってもくれなかった。
仕事は辛抱してやることという、私の愚痴に対しては「「辛抱」と言う考えがポジティブじゃないと思うのだけれど…。その中で楽しみを見つければ毎日楽しくなるわよ!」『毎日を楽しくしたいのであれば(2012年01月16日)』なににでもネガティブな私に「(妻がもし)ホームレスになったら段ボールだってすぐもらって、素敵な段ボールハウスを建てようぐらいのこと考えるわよ。」『私だったら、ステキな段ボールハウスを建てるわ(2015年09月18日)』
私は、よくため息をつく。「ため息はついちゃダメ、悪い気があなたに入ってきちゃうわよ」『ため息をついてはダメ、悪い気が入ってきちゃうわよ。(2012年02月21日)』こんな言い方もされた「ため息はみんなにうつるわよ」『ため息は周りの人にうつるから(2013年02月16日)』いけないけない、最近、ため息が増えているような気がする。私には感謝の気持ちが足りないようだ。
「何を言っているの、世の中いろんな人がいて、いろんな人に助けてもらっているんでしょう。助けてくれている人たちに感謝している?いつもありがとうって思っている?」『いろんな人に助けてもらってありがとう(2014年11月26日)』
イライラすることもよくある。「(コロ)健ちゃん、あまりイライラしちゃだめよ。毎日同じような日が続くわけないじゃない。いい日ばかりではなくて、嫌な日だってある。だから、その都度怒ったりしてはだめ。」『毎日はそれぞれ違う日(2014年10月24日)』
中学受験、高校受験が今ひとつだった子供たちの将来を悲観していたら、「たった一度の人生よ、結果が良いも悪いもないでしょう。あの子達の人生、それは一つなのだから、どんな人生でも見守ってあげるしかないでしょう。」『たった一度の人生に、良いも悪いもないでしょう(2012年03月01日)』あれこれ悩んでばかりのことについても、「一度きりの人生、楽しんだほうがいいわよ。」『一度きりの人生を楽しまなくてどうするの?(2015年03月21日)』
妻が前向きで明るいことを羨ましいと言ったら「私は、(コロ)健ちゃんみたいに(つらいこと、悲しいことを)表に出すことをしないだけ。」『表に出すことをしないだけ(2012年03月10日)』妻は鋼のような強い心の持ち主だとか、そういうわけではない。折に触れ、そういうことを言う「みんな言わないだけよ。」『みんな言わないだけよ(2014年06月23日)』人のことをわかってあげるのは、これが前提なのかもしれない。
通勤途中のことを愚痴ったら、「電車で嫌なことなんて、いくらでもあるでしょう?いろんな人がいるんだから、とあきらめるしかないわよ。でも、男の人は痴漢に遭わないからわからないんでしょうね。力もあるし。ぶっとばしてやりたいけど、そんなことできないのよ、女は。」『男の人は痴漢に遭わないから(2012年10月27日)』妻も痴漢の被害にあったことがあるそうだ。電車の中で、私がイライラすることの多いことにも「(コロ)健ちゃんも気をつけてよ。何か気に障ることがあると、相手の人のこと、“ちっ”、とか舌打ちしたり、にらんだりするでしょう。ああいうのがきっかけで殺されたりだってするのだから。」『健ちゃんも気をつけてよ(2014年11月12日)』お年寄りに無関心な人たちに対して文句を言ったら、独りよがりな考えの私に対して、「(席を譲らなかった)その人たちはもっと先まで乗って行くのだったのよ。きっと、その人たちだって気恥ずかしい思いをしているでしょうから、自分が損したような気持ちをもってはだめよ」『もっと先まで乗って行く人なのよ(2015年11月14日)』電車では私も失敗する「そういうことがあると、弱い人の気持ちがわかるでしょ?よかったじゃない。」『弱い人の気持ちがわかったでしょ?(2017年08月03日)』
少々遅くなっても、食事は家族一緒にこだわる。息子の時にしかいないように思えても、「私はそれでもいい。家族みんなで食事ができるのなんてあと少しなんだから、そんなこと、気にしちゃダメよ。一緒の食事だって、あと何回できるか、考えてみて」『みんなで食事ができるのなんてあと少しの間なんだから(2014年01月08日)』
自己肯定感の低い私、仕事を振られるとその度に絶望的な気持ちになる。そして、なぜ私に?とも思う。「(コロ)健ちゃん、心配しなくても大丈夫よ。あなたが断らなくっても、あちらから断ってくる、というか、声をかけてこなくなるから」『心配しなくても大丈夫よ、あちらから断ってくるから(2014年01月19日)』
日常生活、仕事で嫌なことがあった時、妻の心配はこのブログにも及ぶ。「そんなこと、ブログに書いちゃダメよ!案外、いろいろな人が読んでいるんだから」『案外読まれているのだから(2014年03月10日)』普段から気をつけていないといけない。
夫婦仲を良くすることから社会を良くしようと考えている「夫婦は、社会の最小単位でしょう?だから、夫婦仲がよい、というのはその小さな社会が幸せということなの。その小さな幸せな社会がたくさんあれば、その外の大きな社会も幸せになるし、世界中が幸せになるに違いないわ」『夫婦は社会の最小単位(2014年08月08日)』世界平和は仲の良いカップルから。家族仲を維持することに努力している「家族みんなが帰ってきたくなる家でよかったわ」『みんなが帰ってきたくなる家でよかった(2015年05月26日)』主婦の仕事はここがもっとも大事なところかもしれない。
マルチーズのコロにも気を配る、「コロもいろいろあるのよ」『コロもいろいろあるのよ(2014年11月01日)』
番外編も。
意地悪をされた時に娘が、「そんなことあったかもしれないけど、嫌なことは忘れちゃうから」『いやなこと(2010年10月05日)』
妻の友人の名言も、「子供は親を選んで生まれてくるわけじゃないでしょ。子供がこの世に生まれてくるのは、あくまでも親の責任。それから、子供は親に”こう育ててくれ”っていって育つわけでもない。だから、子供がどう育つかも、もちろん親の責任。子供は結果なの。子供は親のこと、よくみてるわよ。だから、子供は親のように育つの。」『親が原因、子は結果・・・子供は親のように育つ(2011年08月25日)』
こうして振り返ってみると、私の情けなさが際立つさすがに参ることもあるようで、「あなたの暗い面、というかそういうのって、楽なの。”あー、ダメだー、疲れたー”なんて私だって言いたくなる時はあるのよ。だって、そっちの方がよっぽど楽だもの。」『私の方が大変なのよ、だってそっちの方が楽だもの(2017年08月21日)』甘えるのもいい加減にしないといけない。
いつも心がけておく一言、「今日はなにかいいことあった?」『今日はなにかいいことあった?(2017年08月26日)』
久しぶりに花束を買って帰ったら、
子供達からの花がさきに活けてあった
