ホテルの部屋から朝日がよく見えた。去年の札幌での病理学会もいい天気だったので、二年続きの晴天学会ということになる。

こんなによい天気ではあるけれど、学会出張は観光ではない。朝から学会場で勉強している。
幸か不幸か、メイン会場の広島国際会議場とサブ会場のANAホテルが少し離れており、あちらの演題、こちらの演題と、会場移動のたびに外を歩くことができるので、その機に外の空気を吸うことができるので助かる。

さて、今日一日演題をたくさん聞いてきて、なんだか違和感を感じた。
診断病理にみんなぴりぴりしている。
免疫染色がどう、分子診断がどう。
たしかに、遺伝子診断、機能的診断はもちろん大事なのだが、病理医の役割って診断マシンではない。
そのうち、腫瘍の質的診断なんて遺伝子で99%は決められていくと思っている。だから、そう言った意味での診断なんてどうでもいいのだと、真剣に思っている。
そう思うのも、近年の遺伝子解析などの進歩によるものであるのは言うまでもない。
病理医がやらなくてはいけないことは、『その腫瘍があるから、呼吸不全を呈した』といったような、全身的な病態を病理組織学的に診断できるようにすることだと思っている。
質的診断を行うための病変部を同定することも、もちろん大切なことではあるが、それは比較的容易だ。

この先、病理医がやらなくてはならないことは山ほどある。
分子診断などはそのうち、普通の検査室レベルの仕事になる。
なんで、私たち病理医がいるのか、何でもかんでも遺伝子で白黒つけることなんてできるわけが無い。
そのことを良く理解して、私たちは日々研鑽を重ねていかなくてはいけない。


