こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

結局、いつもこうだ

たしかに、教科書に載っているような病変だったら、教科書を読めばいい。誰も私に聞いてくることは無い。

とはいえ、教科書に載ってないような病変、誰が解るというのだろう。



今回の症例も、いつもの通り。難しく、よく解らない。
病変をどう解釈したらいいのだろう。
Nobody knows.

だが、組織像から臨床像を説明することができなければ病理医の立つ瀬がない。それに今回は招待されてのプレゼンだ。

標本の中にのみ、真実がある、と、昨晩も、仕事を終えてから、学会の準備を始め、都合3時間近く顕微鏡を覗いていた。
標本を診てたら、見落としていた血管病変が見つかった。
またもや理論の再構築が必要となった。

病変形成には臓器そのものの障害に血管病変が加わっている。スッキリした説明ではあるのだが、さて、これをどうやって分かりやすい英語でプレゼンするか。



もう少しテンションが上がれば、いろいろいいアイディアも浮かんでくるのだろうが、火事場の馬鹿力も、年齢を重ねる毎に衰え、今回もいよいよどうしようもなくなってきた。

今夜もカンファレンスまで終え、病理の部屋に戻ったらすでに19時。

「うーん」
唸ってばかりいる私を見かねたのか、レジデントの先生が、
「(コロ健)先生、私、以前(別の先生に)”発表なんて、じたばたしないでその時が過ぎるのを待ってりゃいいんだよ”と、言われたことがあります。先生もあんまり完璧を目指さないほうがいいのではないですか」
と心配された。

ありがたがったけど、私の場合、完璧どころか、穴だらけだから唸っているのである。
とにかく、最後の最後まで粘るしかない。少なくとも明日夜の新幹線までは。

あと二日
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