こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

病理診断今昔

電子カルテのメンテナンスがあるので、コロ健、今日も病院に出てきた。
院内のほとんどすべての情報端末は電子カルテに統合されており、病理部門も例外ではなく、知らんぷりをしてはいられない。それに、病理部門のメンテナンスもあるので、今回は特別である。

私が病理診断に関わるようになった頃は、診断書は施設によって手書きかワープロ、パソコン利用でプリントしていた。上級病理医に添削してもらい、清書して提出していた。
手書きだと結構大変で、まるまる清書なんてことはしょっちゅうだったが、ワープロ、パソコン利用が広がるに従って、その苦労は減った。
今は、手書きの病理診断書なんてあり得ないだろうから、昔話に過ぎない。



パソコン利用が進み、すぐれたデータベースの開発により、診断文を書くのはずいぶん楽になった。
コピペである。
所見は症例によって違うので、完全なコピーアンドペーストはあり得ないが、胃癌なら胃癌、乳癌なら乳癌の基本的な所見というのがあるので、これをテンプレートにして書く。
そもそも、癌取り扱い規約というものがテンプレートとしてあるわけで、これをコピペして所見をうめていかないと診断は始まらない。

希少な症例に当たった時もコピペができる。
10年、20年の単位でデータベースがあれば、1年に1度しか遭遇しない症例も10例、20例蓄積されている。だから、”それらしい”症例があればそれに当たって参考にできるし、同じ疾患であればテンプレートにしてしまえばいい。
自前の教科書のようなものだ。



電子カルテ化された時に、私のところでは報告書に病変の代表的な所見の写真を貼付するようにした。担当医がどれほど理解してくれるかはわからないが、患者さんへの説明にも役立つだろうと始めたことだ。
ときどき、貼り忘れて、臨床医から問い合わせがある。ちゃんと利用してくれているのだと思うとうれしい。

肉眼診断をしながら標本の切り出しをして、出来上がってきた標本を診て、診断書を書き、最後に写真を撮りながら最終チェックをする。
そして、ダブルチェックを経て、診断書は電子カルテ側に送信される。
レジデントなどの診断下書きは以前は訂正して返して、清書をサインアウトしていたが、さすがにそれだと電子化のメリットが無い。いまでは、訂正しながら清書してしまっている。
訂正した下書きは最初に書いた先生に返すが、彼らが読まなければそれまでである。

今は、そんな手順で診断をしている。



臨床情報との融合が進むので、電子化の進歩は明らかに有意義なのだが、医師の個人スキルの向上と言う点では失った部分も多少あるように思える。

電子カルテシステムは進化しており、病理部門システムも同様である。
トータルに考えると、病理診断書は比較的簡単に作製できるようになってきている。




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