こんな気持ちでいられたら

昭和育ちの病理医。今日も顕微鏡を覗き込みながら、細胞1個1個と会話しています。

医療の地域間格差

先日参加した学会で問題になったことの一つが、医療レベルの地域間格差についてだった。
日本の医療レベルの平均は一般に高いと考えられているが、医療資源の集約化もあって、医療レベルには地域間に格差がある。
先進的医療を行う大都市の病院では比較的豊富な人的資源をはじめとした医療資源をもって診断・治療を行うが、そうでない地域ではなかなか十分な診断・治療ができない。病理医の数だってずいぶん偏在している(日本病理学会病理専門医)。

だが、患者さんというのはどこにでもいる。



その学会でも、大都市の高度専門医療施設でしか治療のできない疾患を、地方都市(それでも県庁所在地レベル)で診断した場合、患者さんをどうしたらいいか、という話になった。
臨床的な診断までは、勉強すれば何とかなる。いまでは、画像送信技術も高いので、ちょっと悩んだら相談することもできる。
だが、実際に治療までともなると難しい。治療中の迅速診断なども病理医がいなくては、なかなか難しい。



もちろん患者さんが、高度専門医療施設に行って治療を受ければいいのだが、そうそう遠隔地に行くわけにはいかない。さらに、退院後も通うとなるとその費用も馬鹿にならない。高度な医療を国民にあまねく行き渡らせるというのは大変難しい。

だから、どうしても地域間格差が問題となる。
「あそこにいたら、治してもらえたのに」というようなことになる。



医療費の高騰に対して、医療資源の集約化は避けては通れない。だから、医療の地域間格差が生じてしまうことが仕方無いともわかっている。私だって、何かあった時のことを考えると鎌倉より医者のずっと多い東京都心の方が安心である。だが、鎌倉を離れて東京に住む気にもなかなかならない。
住み慣れた土地を離れるというのは難しい。だからといって、病気にならない保証は全くない。というかいつかは病気になって、医者にかかることになる。そのとき、どうするか。



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